信州大学病院(松本市)は、育児を始めたばかりの父親の心の不調などを専門とする「周産期の父親の外来」を1月に新設した。
同病院の村上寛医師(39歳)は、2021年に母親の「産後うつ」などを診察する外来を始めた。多くの妊産婦と話した経験から「父母どちらかが産後うつになれば、もう一人の心も不調になりやすい」と考え、父親がSOSを出しやすいように専門外来を新設した。
「『父親は強くあらなければ』と声を出せない人もいる。しんどくなったら頼ってほしい」と呼びかけている。
政府は男性の育児休業取得を促しているが、厚生労働省の22年度調査によると民間の取得率は約17%と低迷。対応が遅れている企業も多く、父親が職場との板挟みになり悩むケースもある。
村上医師は「心の不調を訴える人は今後増えるのではないか」と予測。出産前から夫婦で育児への向き合い方や働き方を話し合うなど、産後の生活についてイメージをすり合わせることを勧めている。
開設間もない外来だが、早くも県内全域から20〜40代が通い始め、ニーズの高さを実感している。社会の変化や「産後パパ育休制度」等の法改正もあり、以前より父親の育児参加が増え、子育てにおける父親の重要性が高まる中、妊産婦さんだけでなく、パートナーである男性の中にも、職場から育児への急な環境変化に対応できず、うつ状態になる方がいる。今後さらに、お父さんお母さんが、共に十分なメンタルサポートが必要になると考えられる。
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信州大学医学部 周産期のこころの医学講座 専用サイト https://shinshu-shusanki.org/
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