プリント基盤開発製造のFICT株式会社(長野市)は、半導体の世界的な需要に対応するため、2022年度から3年間で計300億円の設備投資を計画。計画の一環で、約7億円の建設費を投じて新設された黒姫事業所(上水内郡信濃町)の新棟が17日に完成した。
鉄骨2階建て延べ床面積2247平方メートル。基板に配線を通すための微細な穴を開ける工程を担う。直径0.08〜0.35ミリの穴を開ける加工機「ボール盤」を約30台導入し、既存の約70台と合わせて、7月から本格稼働予定。今回の設備投資で、半導体パッケージメーカーからの加工依頼に幅広く対応できるようになる。
FICTはスパコン「富岳」のプリント基板をつくっている会社!
同社は02年、富士通(東京)のプリント基板事業が独立し、富士通インターコネクトテクノロジーズとして設立。20年1月に、全株式を保有していた富士通から投資ファンドが過半数の株式を取得し、22年1月に現社名に変更。
事業内容は①高多層板事業、②半導体関連(プローブカード、テスター、半導体パッケージ基板など)事業、③微細加工(穴あけ・ルーター加工)事業、④ベトナムのFCV社事業で構成している。同社は実は世界一のスーパーコンピュータ「富岳」の重要部品であるプリント基板をつくっている会社でもある。
22年3月期の売上高は約300億円、23年3月期の売上高は360億円を見込み、好調な売り上げが継続する。三好清司社長は、社会のデジタル化の進展に伴って今後も堅調な需要が見込めるとし、「半導体パッケージの分野は海外勢の参入が少なく、良いビジネス環境にある」とした。
引用・参考:信濃毎日新聞(2022/05/23)信州経済発