公益社団法人発明協会が主催する、令和5年度関東地方発明表彰が11月29日(水)にホテルアソシア静岡で行われた。県内企業で受賞したのは、オリオン機械株式会社(長野県須坂市)、セイコーエプソン株式会社(長野県諏訪市)、エムケー精工株式会社(長野県千曲市)の3社。
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オリオン機械 省エネ型燃料噴射式温風暖房機
関東経済産業局長賞
オリオン機械の「Kagayaki」GHR240A1-Rは、省エネ型燃料噴射式温風暖房機(特許第6484202号)で関東経済産業局長賞を受賞。バーナー装置、赤熱燃焼筒、下向き流発生ファンを上下方向に一列に配置した高出力縦型燃焼部を採用した赤外線温風暖房機で、反射板を同燃焼部の背後に設置して前面側を集中暖房することにより、燃料消費量の低減化を実現した技術である。燃料消費量の25%削減を実現、反射板の確実な冷却により、背面と側面のデッドスペース(輻射熱による事故等の危険がある空間)も低減した。
セイコーエプソン シリコンがんぎ車を用いた機械式時計
長野県知事賞
機械式時計において、時間精度や駆動時間に影響する重要部品である「がんぎ車」に、シリコン素材を採用。金属製の中心軸と軽量なシリコン材料からなる回転部材とで構成し、回転部材は、中心軸に対して回転ずれなくかつ偏心することなくはめ合わせできるように、シリコンのしなる特性を利用したバネ性を有する微細で複雑な形状に加工。この搭載により、エネルギー効率が向上し、時間精度を保ちながら駆動時間を最大70時間まで延長(従来の金属製がんぎ車搭載の場合と比べて最大20時間延長)を実現した。
同発明部品は「オリエントスター」のスケルトン機種に搭載されており、スケルトン文字板から心臓が鼓動するように回転する姿を見せるシリコンがんぎ車は、天の川銀河をイメージした鮮やかなブルーの渦形状で形作られている。
エムケー精工 家庭用小型精米機
長野県発明協会会長賞
家庭で使用する玄米の精米機において、小型化したパンチングプレート加工の精米バスケットを採用することによって、対流式精米の難題とされる米の温度上昇と割れ米の発生を減少するとともに、小型化を可能とした精米機を提供するもの。この技術によって、割れ米が少なく胚芽の残存率が高い「やさしい精米」を実現。同社の小型精米機すべてに採用されている。
公益社団法人発明協会 地方発明表彰
大正10年に開始された、全国を8地方(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)に分けて実施している地方発明表彰は、優れた発明や考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもの。
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