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長野県の経済動向〔2022年2月4日〕

目次

今月の県内経済総括

新型コロナウイルス感染症の影響がみられるものの、持ち直しつつある

財務省関東財務局長野財務事務所

長野県経済は、一部に弱い動きがみられるなか、持ち直しの動きが一服している。
最終需要の動向をみると、設備投資は前月と変わらず堅調に推移。個人消費は持ち直しつつあるものの、まだサービス消費に弱い動きがみられる。住宅投資は持ち直し、公共投資は前月から引き続き水準を切り下げて推移している。生産は一部に供給制約の影響を受けつつも、緩やかに増加している。雇用・所得は持ち直しつつある。

グラフ 長野銀行発行「地域経済概況」NO.609より転載
企業収益3年度は増益見込みとなっている
住宅投資前年を上回っている。 
設備投資 3年度は増加見込みとなっている。
個人消費 新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、持ち直しつつある
・県内大型小売店(百貨店、スーパー)売上高(当店調べ<店舗調整前>)は、一部に弱めの動きがみられるものの、全体としては持ち直しの動きが続いている。
・家電販売額は、巣ごもり需要の一巡等により、弱めの動きとなっている。
・新車登録台数は、供給制約の影響を受けて弱い動きとなっている。
・サービス消費は、弱い動きとなっている。
生産持ち直している
・半導体関連、電子部品等は、一部に供給制約の影響を受けつつも、緩やかに増加。
・自動車関連は持ち直している。
・機械、同関連部品等では、半導体関連や自動車関連の需要増加等を受け、工作機械が回復している。
・供給制約の影響を受け、計器の増加および成形機の持ち直しが一服している。
・バルブは持ち直している。
・飲料は持ち直しつつある。
雇用・所得 持ち直している。
・有効求人倍率は、持ち直しの動きが一服。
・雇用者所得は、持ち直しつつある。
・就業者数の動きは、弱い状況が続いている。
物価消費者物価指数(除く生鮮食品)をみると、21/12月は前年を上回っている。
貸出金 前年比で1%台のプラスとなっている。法人向け、個人向けともに前年を上回っている。
・貸出金、前年比1%台のプラス
・貸出約定平均金利は、緩やかに低下
預金 前年比で3%台のプラス。法人預金、個人預金ともに前年を上回っている。

企業等の主な声(関東甲信越地域抜粋)

公共投資

・令和元年東日本台風の復旧関連の大型工事が一巡したことにより、公共工事の発注水準は徐々に切り下がってきている(松本)。

住宅投資

・コロナ禍で消費機会が減った中、積み上がった余裕資金を住宅購入に充てる動きが拡がっており、都内へのアクセスの良い南関東での戸建分譲の販売が好調(本店)。
・分譲マンションは、中心市街地での建設が進んでいる。また、不動産業者による用地確保の動きが継続しており、先行きも堅調な着工が続くとみている(松本)。

設備投資

・通信関連向けの電子部品の受注が増加を続けている。こうした中、設備の不足感が強まっていくとみており、来期の稼働開始を目指して、新たに能力増強投資を実施する方針(甲府[電子部品・デバイス])。
・派遣社員の確保が難航しているなど人員不足の状況が続く中、当初計画よりも前倒しでロボットアーム導入やAI活用等の省人化投資を実施(新潟[電気機械])。
・先行きの観光需要の回復などを見据えて、チェックインの自動化など、省人化に資するオンライン接客ツールを導入する計画(松本[宿泊])。
・前期に続いて今期も厳しい業績での着地が避けがたい中、計画していた大型改装工事の実施は依然凍結したままとしている(本店[宿泊])。

個人消費

・緊急事態宣言が解除され、県独自の観光支援策が再開された 10 月以降、日を追うごとに宿泊客数は持ち直しており、年末年始は予約でほぼ埋まっている(前橋[宿泊])。
・新規感染者数が減少し、時短営業の解除やアルコール提供の再開を行うもとで、来店客数は改善傾向をたどっている(水戸[飲食])。
・忘年会や新年会は、少人数の予約が増えているが、団体客や高齢客の予約の回復は遅れている(松本[飲食])。
・9月末での公衆衛生上の措置解除を受け、地元の小規模飲食店からの酒類発注は増加している一方、ホテル等の比較的規模の大きい先からの発注は低調なまま。感染症への警戒感が残る中、大人数の宴会等を行う動きはまだ少ない(新潟[卸売])。
・カラオケなどの遊興施設では、深夜帯を除けば客足はコロナ禍前に近い水準まで回復してきており、年末年始も少人数によるプライベート利用の増加を見込んでいる。ただし、新たな変異株の出現は大変気掛かりである(本店[娯楽])。
・客足の回復を受けて、食料品は生鮮品やワイン等の販売が好調。また、衣料品は気温低下により冬物の売れ行きが良好なほか、冠婚葬祭の催しが徐々に再開されるもとでフォーマルウェアの需要も回復してきている(本店[百貨店])。
・供給制約に伴う自動車の減産の影響から、新車登録に遅れがみられているが、足もとではメーカーの生産水準が持ち直していることから、今後、登録の遅れは解消に向かう見込み(前橋[自動車販売])。
・家電販売は引き続き底堅いが、緊急事態宣言が解除された 10 月以降は巣ごもり需要がピークアウトしつつある。先行き、飲食・宿泊などサービス消費の需要が回復することで財消費への支出が落ち込んでいくことを懸念している(横浜[家電販売])。
・外食の機会が徐々に増えていることもあり、巣ごもり需要による食料品販売の盛り上がりには一服感がみられつつある(松本[スーパー])。
・公衆衛生上の措置解除後も巣ごもり需要から販売は堅調。この間、原材料価格高騰が続いており、出荷価格引き上げや内容量削減を実施予定(本店[食料品])。

生産

・堅調なデジタル関連需要を背景に、前年に比べ2割ほど高い水準での生産・出荷が続いている。先行きは、十分な人員の確保が前提にはなるが、さらに生産水準を引き上げることも視野に入れている(新潟[電気機械])。
・工作機械部品は、半導体や自動車関連の設備投資需要の増加から、堅調に推移しており、先行きも高水準が継続する見通し(横浜[はん用機械])。
・半導体等の部品不足を受け、2021 年末まで生産調整を続ける。もっとも、一部の部品で代替調達の目途が立ったため、2022 年初には元の生産水準に戻し、その後は次第に挽回生産に転じていく方針(前橋[輸送用機械])。
・東南アジアの感染拡大に起因する半導体等の不足は解消に向かっており、生産水準は徐々に持ち直している。ただし、当面、需要増に伴う半導体不足の影響は残るとみており、生産を下押しする見通し(横浜[輸送用機械])。
・設備や人員面では需要の増加に対応できる体制を構築しているものの、部品調達に苦労しており、生産を増やせない状態が続いている(甲府[電気機械])。
・弁当向けの需要持ち直しに加え、一定程度の巣ごもり需要が継続していることもあり、家庭用食品の生産は引き続き堅調に推移している。ただし、油脂類や包装資材、輸送費等の上昇により採算は悪化している(本店[食料品])。

雇用・所得

・飲食や宿泊等の対面型サービス業では週末を中心に需要が戻りつつあるが、現状は既存従業員のみで業務を回している先が多い(甲府[求人広告])。
・コロナ禍でアルバイトの退職が発生したことで、緊急事態宣言が解除された後も、人員不足から夜間営業の短縮を余儀なくされている店舗が出ている。このため、時給を引き上げて採用を積極化している(横浜[飲食])。
・渡航制限の継続等によって外国人労働者の確保が難しくなっていることから、正社員や派遣社員の新規採用に取り組んでいるが、近隣企業との人材獲得競争が激しく、必要な人員数を確保できない(新潟[電気機械])。
・観光需要は持ち直しつつあるものの、コロナ禍前の利益水準には程遠いため、夏季賞与に引き続き冬季賞与も減額支給とした(松本[運輸])。
・業績好調を受けて、今年度は年2回の定期賞与に加えて、期末賞与を支給することとした(新潟[電気機械])。

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