イナリサーチ、上場廃止し新日本科学グループの一員へ

イナリサーチのTOBによるねらい

株式会社イナリサーチ（長野県伊那市、以下イナリサーチ）は、8月17日（水）を以って東京証券取引所スタンダード市場における最後の株式取引を終了し上場廃止となった。背景には株式会社新日本科学（鹿児島県鹿児島市、以下新日本科学）のTOB（株式公開買い付け）がある。

イナリサーチは医薬品、医療機器、農薬等の非臨床試験（動物を対象とする試験）を主力事業とし、半世紀近くにも渡る実績と蓄積から2008年には東証JASDAQに上場した。もう一方の主力事業である環境事業においては試験施設としてのノウハウを活用し、動物飼育・科学実験や関連施設の設計・施工、空調・空気の浄化システムや排水処理設備の提案・開発も実施している。

米国での新薬申請に必須である薬事当局FDAへの申請を行うためのSENDデータ・パッケージに関するトータルサポート事業も展開しており、海外に向けた事業にもいち早く参入していた。

新日本科学（SNBL）は1957年に創業された医薬品開発受託研究機関（CRO）であり、非臨床試験においては国内きっての企業である。今回の子会社化の背景には、人材や実験施設等の経営資源を活用し医薬品開発における受託開発能力の向上を図ることが狙いだ。