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長野県の経済動向〔2022年4月1日〕

目次

今月の県内経済総括

長野県経済は、一部に弱い動きがみられるなか、横ばい圏内の動きとなっている。

財務省関東財務局長野財務事務所

最終需要の動向をみると、設備投資は堅調に推移している。また、個人消費は持ち直しつつあるものの、サービス消費に弱い動きがみられている。住宅投資は持ち直している。公共投資は水準を切り下げて推移している。この間、生産は供給制約の影響を受け、高水準ながら増加ペースが幾分鈍化している。雇用・所得は持ち直しつつある。企業の業況感、幾分改善している。

グラフ 長野銀行 地域経済概況No.611より転載
住宅投資持ち直しの動きがみられる
設備投資堅調に推移している
設備投資は、22年度は前年度を上回る計画となっている。
輸出は、22年度は前年度を上回る計画となっている。
企業収益は、22年度は前年度を下回る計画となっている。
個人消費 持ち直しつつあるものの、サービス消費に弱い動きがみられている
 県内大型小売店(百貨店、スーパー)売上高(当店調べ<店舗調整前>)は、一部に弱めの動きがみられるものの、全体としては持ち直しの動きが続いている。家電販売額は、持ち直しつつある。新車登録台数は、供給制約の影響を受けて弱い動きとなっている。サービス消費は、弱い動きとなっている。
生産供給制約の影響を受け、高水準ながら増加ペースが幾分鈍化している。
半導体関連・電子部品等は、一部に供給制約の影響を受けつつも、緩やかに増加している。自動車関連は、供給制約の影響を受け、持ち直しが一服している。機械・同関連部品等では、供給制約の影響を受け、計器の増加、工作機械の回復および成形機の持ち直しが一服している。バルブは持ち直している。飲料は持ち直している。
雇用・所得 持ち直しつつある
有効求人倍率は、持ち直しの動きが一服している。雇用者所得は、持ち直しつつある。就業者数の動きは、弱い状況が続いている。
物価消費者物価指数(除く生鮮食品)をみると、22/2月は前年を上回っている。
貸出金 法人向けや個人向けの増加を主因に、前年比で1%台のプラスとなっている。貸出約定平均金利は、緩やかに低下している。
預金 個人預金の増加を主因に、前年比で3%台のプラスとなっている。

企業等の主な声(関東甲信越地域抜粋)

公共投資

・手持ちの公共工事は高水準ながら減少傾向にある。このため、先行き、2021 年度補正予算や 2022 年度当初予算の執行によって国土強靱化関連の発注が出てくることに期待している(松本)。

輸出

・スマホやIоTデバイス向けの受注が堅調に推移しており、ほぼフル操業での生産が継続している。輸出も中国の春節の影響等による振れはみられるものの、高水準で推移している(横浜[電気機械])。
・欧州や東南アジアなど海外における製造業の工場稼働率の上昇に伴い、作業工具の輸出は既往ピークを超えつつある。先行きについても、受注残を多く抱えていることから、高水準の輸出が続く見通し(新潟[金属製品])。
・北米向けの産業用機械の需要は強いものの、海上輸送の混乱や部品不足により、生産・出荷が追い付いていない(甲府[はん用・業務用機械])。
・ウクライナ情勢の悪化から欧州向けの貨物航空便で迂回や減便がみられており、半導体関連部品の出荷が遅延している(前橋[電子部品・デバイス])。

設備投資

・半導体製造装置向け部品の受注が活況を呈しており、生産が追い付かない状況となっていることに加え、少なくとも今後2~3年は右肩上がりで需要が増加を続ける見込みであることから、生産棟を新設する方針(甲府[生産用機械])。
・中国向け自動車関連の需要が旺盛であることに加え、先行きは自動車の生産工程における自動化の進展などを背景に、電線・ケーブルの更なる需要増加が見込めることから、生産ラインの増設を予定(横浜[非鉄金属])。
・2022 年度は、感染症がある程度収束するという見通しのもと、観光需要の持ち直しを期待して、数年振りに大型観光バスの追加導入を決定した(新潟[運輸])。
・海外を中心にデータセンター向け受注が堅調に推移しているため、能力増強投資を進めているが、半導体不足の影響で生産設備の調達が遅延しており、投資の進捗が計画比遅れている(横浜[電気機械])。
・半導体業界では積極的な投資スタンスが続いているが、それ以外では資材価格の高騰により予算を超過し、投資を先送りする企業もみられている(甲府[建設])。

個人消費等

・オミクロン株の感染拡大により団体客が大きく減少したが、個人客はワクチン接種の進展やそのもとでの感染症への警戒感の低下などから、過去の感染拡大局面に比べて外出自粛の動きは小さく、減少幅は抑えられている(松本[宿泊])。
・まん延防止等重点措置の解除後も新規感染者数が高水準で推移する中、団体予約はほとんどみられないが、少人数客の予約は多少入ってきている(松本[飲食])。

住宅投資

・貸家の着工は、高齢化の進展を背景に相続税対策の需要が根強い中、金融機関の貸出スタンスが幾分緩和していることもあり、下げ止まり感がみられる(松本)。

生産

・世界的なデジタル需要の拡大のもと、自動車・家電・産業機械等の電子部品向けの受注が非常に好調で、高水準の生産が続いている(前橋[電子部品・デバイス])。
・本年入り後、感染再拡大の影響等による完成車メーカーの減産の影響を受け、自動車部品の生産が下振れたが、3月以降は、完成車メーカーの挽回生産を背景に生産水準を徐々に引き上げていく計画(横浜[輸送用機械])。
・半導体製造装置向け部品の需要が旺盛で、フル生産を続けてきたが、供給制約の影響が長期化する中、代替品の調達だけでは部材を賄うことが困難となり、高水準ながらもこのところ操業度を引き下げている(水戸[電気機械])。
・鋼材や樹脂等の仕入価格が上昇しているが、産業用ロボットや半導体製造装置向け部品への旺盛な需要を背景に、販売価格への転嫁は順調に進んでおり、収益への影響は然程大きくない(甲府[生産用機械])。
・ウクライナ情勢の影響で、ロシア産パラジウムの調達が滞ることが予想されるが、先んじて代替調達の目途を付けたため、現時点では生産への影響は軽微にとどまる見通し(松本[電子部品・デバイス])。

雇用・所得

・生産能力の拡張にあたり追加の人員を募集しているが、製造業における人材獲得競争の激化から、時給を2割引き上げても応募が来ない(松本[生産用機械])。
・半導体・医療関連の受注増加で収益が拡大傾向にある中、賞与支給額を過去最高水準としたほか、ベアの水準を引き上げる予定(新潟[はん用機械])。
・コロナ禍による外食需要の減少から、既存人員の雇用維持で精一杯な状況であり、税制優遇制度が拡充されるもとでも賃上げの実施は難しい(松本[飲食])。

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